クロストーク「おさかなと無限に広がるアートの世界」

SeekS×potのサポーターの一員である新進気鋭のアーティスト NAMIKO(NIBOSHI&)。「にぼし」をモチーフに独自の表現で色彩豊かに魚を描く作品が代名詞で、全国の水族館や釣り業界とのコラボ展開も多数行っており、このたび自身初となるフランス・パリでの海外個展(会場:パリ水族館〈Aquarium de Paris〉会期:2024年5月24日~10月25日)に挑戦します。
パリ個展に際しクーピーペンシルでおなじみの株式会社サクラクレパス(本社:大阪市中央区/以下、サクラクレパス)のグループ会社である株式会社ターレンスジャパン(本社:大阪市中央区/以下、ターレンスジャパン)による画材の全面提供が決定しました。
そこで、お魚愛が止まらないNAMIKO氏とターレンスジャパンの今川清隆氏をSeekS×potにお招きして「お魚と無限に広がるアートの世界」というテーマで開催したクロストーク(1月開催/非公開)の様子をお知らせいたします。
 

【作品に宿るオーラ】

お二人とも学芸員資格をお持ちということで、「いままで観た絵画の中で感動した作品、また一度見てみたいと思う作品」はありますか?
今川清隆氏(以下、今川氏):感動した作品というか、 要するに絵画とか芸術作品が持つものが何かっていうのを理解した出会いはあります。千住博さんの『ウォーターフォール』ってあるじゃないですか。それまでは何気なく、有名な方の作品のシリーズとしていろんなところで観ていたんですけども。 作品を買うことができれば、自分のものになったらどうするかなってふと考えたことがあって。
―でも、やっぱそういう視点で見ますよね。
そう思った時に、きっとこの作品を買ったら、僕は家を建て替えるなと思ったんですよ。これを置くために周りに、例えばこんなモノがあったら嫌やな。と想像したんです。作品のために周りが全部変わってしまう、これが作品の持ってるオーラやと確信したんです。本当にその作品を持っているパワーっていうのは、これを配置するための何かをまた別に用意せなあかん、そういう次のアクションが起こさせるものこそ、僕は作品が持ってる力であって、オーラだと思っています。
NAMIKO(NIBOSHI&)氏(以下、NAMIKO氏):(千住博さんの『ウォーターフォール』を見て)かっこいいですね。
―NAMIKOさんはいかがですか?
NAMIKO氏:私は「こういう絵が描いてみたい」って幼い頃に感激した絵がありまして、小布施によく家族で行っていたこともあって、北斎美術館で『生首の図』を見て、幼稚園の時、衝撃を受けてこれを描きたいと思った。
―幼稚園の時ですか?(笑)
NAMIKO氏:そうなんです。首しかなくて落ちて死んでるはずなのに、艶めかしいというか、生きているかのように描ける北斎ってすごいなって衝撃を受けたんですよ。波の絵(『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』)とか、他にも鳳凰の絵(『八方睨み鳳凰図』)とかすごく美しくて綺麗なんですけど、なんかこういうもの(生首の図のように少しグロテスクなもの)って私すごく苦手だったのがこんなに美しく描けるなら、面白い表現ってもっとできるんだろうなと思って、ずっと頭から離れない感じ。私はにぼしや魚がテーマなんですけど、(モチーフとして用いるにぼしは)同じように死んでいるものなので、にぼしに新たな命が宿るような絵を描いてみたいってキッカケとなったのが北斎の作品(『生首の図』)です。
―この作品の独特の魔力みたいなところに惹かれたという感じでしょうか?
NAMIKO氏:小さい頃から命とはなくなるもの、何かがそこに「宿る」みたいなところに惹かれてたのかもしれないです。今でも自分の作品が描けないなと思うと、(『生首の図』)を見に小布施に行ったりしてます。
―なるほど。今のNAMIKOさんに多大な影響を与えた作品なんですね。
こう、なんか怖いもの見たさじゃないですけど、独特の雰囲気がある作品ですね。ありがとうございました。

【お魚のお話】

お二人ともお魚好きということで、一番綺麗だなと思う魚や好きなお魚をお伺いしたいです。
NAMIKO氏:マイワシですね。水族館で見ていても背中が青くてちょっと黄色みも入っていて、餌で興奮してくると、少し体がピンクがかって、まるで虹色が大群で泳いでいるように見えるのが好きなんです。
―あ、確かに。名古屋港水族館ではいわしトルネードとも言われていますが、集団で泳いでいる姿はいつまででも見られますよね!形が自由時代に変わってとても優雅で綺麗だなって思います。今川さんはいかがですか?
今川氏: まぁ、おそらくほとんどの熱帯魚は飼ったことがあると僕は思っているんですよ。(笑) それも40歳までの事で、今はもう手を離れてしまいましたが。
-すごいですね。(笑)
NAMIKO氏:(笑)
今川氏:その頃は(好きな魚は)ポリプテルス=エンドリケリーが一番でしたね。でっかい水槽で飼っていたんですよ。それもね、チャド湖産。その当時、チャド湖産っていうのがレアで、要はどれだけ下顎が受けているか(しゃくれているか)みたいなことに夢中でした。
NAMIKO氏:ええぇー!
今川氏: ネットが無い時代、月一回の専門雑誌が全てで、発売日に本屋に行って、小さな広告をいち早く見て、入荷も少ないから「これが欲しい」って早く電話しないとね。誰かに買われてしまったら嫌やなっていうような気持ちでした。夢中だったエピソードとして阪神大震災が起こった時、子供と嫁と一緒に寝ていたんですけども、あれは朝5時過ぎでしたね。(地震が)ドンってきてグラっと揺れた瞬間に僕、水槽向かって走っていって、水槽がひっくり返ったあかんと思って水槽を必死で支えました。もし下敷きになれば大怪我でした(笑)。

【お仕事について】

普段のお仕事について教えてください。
NAMIKO氏:今は、「にぼし」の絵を描いて活動しています。単純化した13種類のにぼしたちを魚の中に泳がせて、『本物の魚の色』を表現するべくリアルな色彩を大切に作品を描いています。水族館さんとのお仕事が増えてきたので、絵の展示をしたり、オリジナルのガチャガチャの制作を通じて、水族館に来てもらうようなことを考えたりですとか、(絵に関する)グッズを作り、展開することです。あとは釣り業界さんとかを中心にお仕事をしています。
今川氏:ターレンスジャパンの親会社は皆さんご存知のサクラクレパスで、普段はサクラクレパスでマーケティングの仕事をしております。大切にしていることは、マーケティングの基本なんですけども、必ずユーザーの方の目線でものを考えて、その人たちが何を欲してるのか(何で困っているのか)、そしてどのように解決するのか(=ユーザーにとっての価値)を常に念頭に置いて仕事をしています。
―ユーザーの気持ちを第一に考える部分。絵や画材って言葉にしづらい感覚とか、触感とか、もうちょっと色がこうだったらなみたいな抽象的な声拾い上げて、製品という具体的なものに繋げていくという部分で、難しいことが多いんじゃないかなと思うんですけど、いかがですか?
今川氏:プロの方でも、一般の方でも絵を描く方々と話していると色彩であったり、着彩方法であったり、道具であったりと何か困っておられることが見えてくるんですよ。で、それをどうのように解決するかということを考え、どうすれば具現化できるのか…に日々取組んでいます。NAMIKOさんが例えばこの赤の発色がどうなのか?とそういう言葉があったとしたら、きっと同じことに困っている方が他にもおられるんですよね。そういった方を探していって、その市場性(受容性)がどうなのか?もしかするともうちょっと違うところも抑えていったらいいんじゃないのか?と、一つの困り事を拾い上げて、それをどこまで横に広げていけるのかという事も重要ポイントですね。
―なるほど、その一人の声に普遍性があるのかみたいなところ。でしょうか。
今川氏:そうですね。 まあ、なかなか時間もいるし、外れると大変なんですね。(笑)あとで、全然売上立ってへんやんか!って言われたり(笑)。すべて100%ということはないので、その繰り返しですね。
 

【絵を描くキッカケ】

NAMIKOさんが絵を描き始めたキッカケがあれば、教えていただきたいなと思います。先ほどのお話の中でも幼少期の頃から北斎の絵に触れ合う機会があったり、絵に触れられる機会は多かったのでしょうか。
NAMIKO氏:そうですね。絵に触れる機会は多かったと思います。ただ、そこまで本格的に描いていたわけじゃなく、似顔絵を描いたら喜んでくれた人がいたのがキッカケかもしれないです。絵はずっと描いていたけど、職業にしたいとは全く思っていなくて。その後、大学の授業でにぼしに出逢って、縮んでいて、干からびていて、死んでいるという存在なのに、「こんな美しいものがあるのか」と。これを描きたいと思いました。ただ、当初は思ったように手が動かなかったんですよ。だから基本的な線をまっすぐに書く練習とかを大学生くらいから、そこから就職してもずっと描き続けて、前職を辞めるタイミングで、これをお仕事をしようと今に至る。それが1年半前くらい。
―大学生の時になぜにぼしを描くことになったでしょうか。
NAMIKO氏:これは偶然で、大学では人間科学部という学科を専攻しており、臨床心理の授業の一環で、絵を用いてクライエントと対話を行う方法を学ぶ授業がありました。その時のテーマが「干物」だったんですよ。当時は干物が何かわからなくて。時間も無くて買い物できる場所がコンビニだけだったので、とりあえずコンビニに行ってお菓子のフィッシュ&アーモンドを見つけて、「干物って干からびてるからこれだ!」って。それがにぼしとの出逢いです。
―(笑)
NAMIKO氏:授業が6時間ぐらいあったんですけど、みんな干物をでかでかとキャンパスに描く中、私は小さいにぼしを(縦に並べて)ずっとこまごまと描き続けた。その時に、こんなに可愛いものはないんじゃないかと思い始めてきて、そこから死んだはずのにぼしがまるで命あるかのように光り始めて。大学生の時はにぼしに夢中で、卒業論文も心理学のことではなく、『にぼし』って題名で提出しようとしたら、教授に呼び出されたこともありました(笑)。それぐらいにぼしに熱中していました。

【魚の魅力】

お二人はどういうお魚が好きであったり、どういうところに惹かれていったんでしょうか。お二人がそれぞれ考える魚の魅力を教えてください。
NAMKO氏:私は個性的なところです。
私、学校生活が馴染めなかったタイプだったんですよ。例えば、授業中だけど、歌ったり踊ったりしちゃうみたいな。それで先生によく怒られていたんですけど…(笑)。でも、魚は一匹一匹が個性的じゃないですか?性転換する魚もいれば、子育てをする魚もいたり、群れをつくって一緒になって泳いでいる魚もいたり。個性というか、いろんな種類の魚や生き物が、海や川で共存していることがすごいなと思った。もちろん色も美しいし、見た目も可愛いし、水族館では美しい空間で泳いでたりとか、自然界の魚も楽しそうだしとか他にも魚が好きな理由はあるんですけど、一番はやっぱり(幼少期のころ)自分自身が他と馴染めなかったっていうので、その自分でもいいんだよって認めてもらえそうな空間っていうのがすごく魅力に感じています。
―なるほど。集団生活というか馴染みづらかった自分の姿を魚に投影というかそういったはぐれたイワシに共感した部分もあるんですね。今川さんはいかがですか?
今川氏:(魚の魅力は)やっぱり形ですね。
―形ですか!確かにいろんな形をしたお魚がいますよね。
今川氏:その形は必ず理に適っていて、無駄が一切ない。そして取り巻く環境にも完全に一致している事が凄いと思います。なので、手間と時間、お金をかけて飼育環境を作り上げる事が楽しくて、「いい水」が出来上がると大満足だったんです。
NAMIKO氏:アマゾンを目指しているのですか?(笑)
今川氏:アマゾン川は茶色の濁流なんです。水槽の中でこの自然環境再現は大変です。電気代を使って、道具をつかって、手間もかけてそれでもうまくいかないこともあるのに、自然ではごく普通に成り立ってる。(自然界では)雨が降って、日が差して、植物が育って、食物連鎖が当たり前に成り立っていることがすごいなって、常々思うんですよ。
 

【パリ個展に画材を提供することとなったキッカケ】

今回トークセッションを行うキッカケにもなった部分を少しお伺いしていきたいなと思っております。パリ個展に際して、ターレンスジャパンさんが画材を提供することになった経緯っていったところをお伺い出来ますでしょうか。
今川氏:飛び込んで(営業に)こられたんで(笑)
―そうなんですね(笑)NAMIKOさんはどういった形でターレンスジャパンさんに飛び込み営業されたのですか?
NAMIKO氏:フランスに画材を持っていくのはとっても大変だからなぁと思って、ダメ元でメールを書かせていただいて送ったのがきっかけです。
―ターレンスジャパンさんの方にアーティストさんからそういうメールってかなりの量届くものなのでしょうか? 今川氏:かなり届きます。それぞれの(作品が)持っている印象ですとか、メッセージを加味して、協議します。NAMIKOさんの場合も同様で、特に営業からの賛同が強く、しかも、パリっていう点も大きかったです。もともとロイヤルターレンスはオランダの会社ということもあり、ヨーロッパエリアが商圏市場ということも踏まえ、NAMIKOさん自身もアムステルダム(ロイヤルターレンスのアクリル絵具ブランド)を使っていただいているという事も相まってこれはもう是非ということで、スムーズに提供する流れになりました。
NAMIKO氏:本当にありがたいです!!
―先ほど(ターレンスジャパンさん)の社内で、絵を見た時の印象っていうふうに仰っていましたが、どういった印象を受けられたのでしょうか。
今川氏:第一印象って非常に大事なんですよね。当然、企業の持ってるイメージっていうのもありますし、あまり理解に苦しむような、要するに説明がないとわからないような絵って、(すべての人が理解をするのは)なかなか難しいなと思っています。そういう意味では、見た瞬間に「あ、これっていいやん」って瞬間に入ってきて、理解できたっていうのは大きいかと思います。やはり我々としてもできるだけ多くの人、一人でも多くの人に絵を描いていただきたいです。わかりやすく、共感を持てる事は非常に大きなバロメーターだとは思うんですね。
 

【アクリル絵具「アムステルダム」】

アクリル絵具アムステルダムっていうのは、そもそもどういった絵の具なのかというのを教えていただければと思います。  
今川氏:やはり専門画材っていうと、値段が高いというイメージがあって、手を出しづらいっていうのはもちろんあるんですね。その中で、やはり多くの人、特に学生の方なんかに広く使っていただきたいということで、高品質で価格的にも手に取りやすいというのがアムステルダムシリーズの基本コンセプトなんですよ。ただ、人によっては、「こんな表現がしたい」とか、「技術力が上がってきたのでもうちょっとこうしてほしい」との要望が出てくるので、エキスパートという発色が良く固めの絵の具があったり、スプレー式で吹きつけるようなものがあったり、リキッド状のものまで様々です。我々は絵を描く人、造形活動する人たちの要望に応え、創作活動をする多くの人の要望に応えられるようにアムステルダムシリーズを展開しています。
―そもそもNAMIKOさんは、なぜこのアムステルダムというアクリル絵具を使うことになったんですか?
NAMIKO氏:きっかけは4年ぐらい前に葉加瀬太郎さんにお会いしたことなんですけど、その時にアクリル絵の具に挑戦してみたら?と教えて頂いたのがキッカケです。葉加瀬太郎さんも絵を描かれる方なので。この絵の具(アムステルダム)は伸びがすごいんですよ。
―そこから他のアクリル絵の具も色々使われて、最終的にアムステルダムにたどり着いたんですか?
NAMIKO氏:アムステルダム以外にも色々使ってたんですけど、これ(アムステルダム)以外私は合わなかったんです。自分に合う合わないって画材をつかっていると結構あるんですけど。多分、これに出会ってなかったら、アクリルの絵を描いてなかったと思います。
―先ほどお話の中で、アムステルダムの伸びが良いという風にお伺いしましたが、その他にアムステルダムじゃないとダメっていう理由っていうのが、あれば教えてください。
NAMIKO氏:海外メーカーさんの絵具って同じ色番号なのに全然色違うとかもあるんですよ。「あれ?」みたいな。(笑)
―そんなこともあるんですか?
NAMIKO氏:そうなんです!(笑)。実際に塗ってみて、全然違うとかあるんですけど、アムステルダムさんはもう素晴らしく、ちゃんと品質が保たれている!この番号はこの色なんだっていうのがブレないっていうのは、助かるし、すごいなっていつも思っています。 (ターレンスジャパン様のスタッフが大きく頷く)
―大きく頷いてらっしゃるということはよくあることなんですね(笑)。
NAMIKO氏:びっくりするぐらい違う。本当にびっくりしますよ(笑)。
(ターレンスジャパンさんのアクリル絵の具の黄緑色と明るい黄色を手に取って)同じ品番でも、このぐらい違う時もあるんですよ。当時は、「そんなことある?」ってなりました。それからネットで買うのがすごく怖くて。アムステルダムさんは絶対に色の品質が変わらないので、ネットで買っても大丈夫という安心感がすごいです。
―同じ品番でも色の配色にやっぱそういうことがあるものだとは知らなかったです。一定の品質を担保するっていうのは、商品の「信頼」という部分につながってきますよね。

【ターレンスジャパンが絵や画材を通して目指す社会像】

パリ個展を控えるNAMIKOさんへの画材提供だったり、他にも会社として、画塾の運営だとか、様々なクリエイターを支える活動されているかと思います。ターレンスジャパンさんとして、クリエイターを支援する理由だったり、絵や画材を通して目指すこれからの社会像をお伺いできますでしょうか。
今川氏:冒頭にも少しお話させて頂きましたが、母体はサクラクレパスなので、基本は子供たちの表現を支援することで、教育文化に貢献するっていうのが会社のミッションなんですよね。子供だけじゃなくて、大人を含めて絵を描く、何かを表現するっていうことは、人間の五感を昇華させた先にあると僕は思うんですよね。それって人間でないとできないことであって、それができるから人間らしくあって、だから楽しくって、なので豊かな社会ができてくると。サクラクレパスやターレンスジャパンである我々が目指す社会像かなとは思っています。
―今後、どういった人にターレンスジャパンの製品を手に取っていただきたいですか。
今川氏:最近、デジタルで絵を描く人がたくさんおられるんですよね。 SNSとの連携もあり、そっちの方が主流みたいなところもありますよね。話題になったのでご存知の方も多いミッドジャーニー(画像生成AIの一つ)なんていうのを使うと例えば魚、にぼし、楽しい、群集と四つぐらいのワードを打ち込むと、大量のデータから拾い上げて一つの絵にしてアウトプットしてくるんですけども、それってあくまでデータであって、簡単にコピーできるんですよね。オンリーワンではない。個人が持つ五感の先に存在しているのかな?と思ってしまいます。表現の過程で上手く行ったり、思わぬ効果が出たり、失敗したり、修正したりと「生む苦しみ」を知って、本当の楽しさや嬉しさを実体験してほしいですね。

【Aquarium de Parisでの個展について】

本年の春よりフランスのパリでNAMIKOさん初の海外個展となりますね。意気込みをお願いします。
NAMIKO氏:まず、なぜパリでやることになったかというと、キッカケは手紙を書いて送ったことからです。 もともと、最初は日本のギャラリーさんに売り込んでいた時に、私が美術大学を出ていないことや、絵もイラストと精密画が融合しちゃっているので、ギャラリーでは取り扱えませんって言われることが非常に多くて、日本では(展示は)難しいよって多方面から言われていたんです。 それで、展示場所がない中、今でこそ水族館さんが展示場所を提供してくださって、絵を見ていただく機会っていうのができたんですけど、手紙を送った当時は日本で無理なら海外で展示できるのかなって思ったのがきっかけで、コロナ禍で少し暇だったのでダメ元でお手紙を書いたら、向こう(Aquarium de Paris)からすぐ「3年計画で進んでいるから、3年後だったらできるから展示しようよ!」って言うメールが3年前の1月2日くらいに来て…(笑) え、お正月から?みたいな。まさか返信が来ると思っていなかったので、怪しいメールだと思って一ヶ月ぐらい無視してました。(笑)それから、できるかどうかは一旦別として、別に美大出てなくても、絵の展覧にチャレンジできるんだとか、今後の日本でのギャラリー活動での間口が広がる可能性があると思っていました。日本はやはり海外からのものに弱い部分もあるので、私のように美大出てないから展示場所がない方にも、間口が広がっていけばいいなって思ってます。自分が日本で(展示する場所を探すのに)とても苦労したので。あとは魚の友達を海外にも増えたらいいなとか、そういう思いもあるんですけど(笑)。
―そうだったんですね。実際、個展が開催決定になってからも、色んな調整はあったかと思います。その中でどういう部分が一番大変ですか?
NAMIKO氏:今もまさしく大変なんですけど、全然やっぱ英語も喋れない。フランス語も喋れない中で契約書の確認もグーグル翻訳を頼ってやっている。どうやって作品を郵送しよう、あとグッズ何作ろう?とか。今回の(ターレンスジャパンさんに提供いただく)絵の具もそうですし、何を書いて、何を展示してその次に図面はどうだ?じゃあ、どこに泊まって航空券だっていうのを事務所に所属しているわけじゃないので、全部自分でやるってなった時に、これやれるのかな?みたいな不安はあります。でも、通訳は現地の友達にお願いしたりだとか、契約書関連も知り合いの方が見てくださったりとか、画材に関してはターレンスジャパンをはじめ、ターレンスのオランダ本社だったり、フランスのターレンスさんも協力して下さることになり、いろんな人に支えられながら進めています。
―本当に縁ってすごい大切ですね。それこそ4月14日まで実施している、神戸・三宮にある劇場型アクアリウムátoaにて行っている企画展でも、「縁」というテーマに触れている部分もあり、NAMIKOさんが「ご縁」を大切にされていることが伝わりました!ターレンスジャパンさんをはじめ、パリ個展がNAMIKOさんに関わる多くの人にとって成功となれば良いですね!是非頑張って下さい!
(2024年1月16日SeekSxpotにて)

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